A01班

A01班

病態増悪における間質性免疫細胞間クロストークの包括的理解

研究代表者
佐藤 荘 Satoh Takashi
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 教授

研究分担者
伊藤 美菜子 Ito Minako
九州大学 生体防御医学研究所 准教授

免疫系細胞は極めて機能的多様性に富む細胞集団であり、恒常性維持や疾患の発症・増悪に深く寄与しています。しかし、それらの過程における時空間依存的な細胞間のクロストークの全貌解明は成されておらず、特に疾患時に様々な細胞が出現する場である間質に焦点を当てた統合的な研究は殆ど進んでいません。本研究計画では体内でも様々な臓器と強い臓器連関がある肝臓に焦点を当て、病態の進行過程において肝臓の間質に出現する免疫系細胞のサブタイプ(間質性免疫細胞とする)の解析を行うことにより、これまで支持組織として考えられていた間質側から新たに疾患を科学します。具体的には、正常―肝線維症―肝臓がんマウスモデルを超高解像度MRIを用いて肝臓中の病変部を特定し、その場(間質)における1細胞解析可能にするSTvEA解析を用いて解析し、時空間依存的に変化する間質の免疫系細胞を機能的に分類し、病態の進行に関わる細胞間クロストークを掴みます。更に、シングルセル(scRNA-seq)解析を応用し、病態に影響を与える間質性免疫細胞が選択的に相互作用する間質に存在している神経系、間葉系、血管・リンパ管や実質との複雑系細胞クロストークを解明します。並行して、標的とするクロストークを制御している分子を同定し、当該分子のノックアウト(KO)マウスを作製し、生体における機能を明らかにします。疾患に関与する間質性免疫細胞の性質と周辺細胞とのクロストークを包括的に理解することにより、新たな視点から病態発症・進行メカニズムの全貌を解明します。